失敗しない不動産コラム
2024/04/26
住宅ローンって、みんないくらぐらい払ってる?平均値を見る 後編
LIST
❶ 住宅ローン返済額平均
❷ 住宅購入の平均費用
❸ 借入、返済時の平均値
❹ 住宅ローンの返済比率
❺ 住宅ローンを組むときにに注意すること
❻ まとめ
※後半は❹~❻まで解説します。
┃住宅ローンの返済比率
返済負担率は、年収に対する年間返済額の割合を指しました。住宅ローンの返済比率は、無理のない返済計画を策定する上で極めて重要な要素です。これについて詳しく解説していきます。
■住宅ローンの返済比率の概要
住宅ローンの返済比率、または返済負担率とも呼ばれるこの概念は、世帯の年間収入に対する住宅ローンの年間返済額の割合を指します。この比率は、住宅ローンの審査において考慮され、各金融機関では返済比率の上限が規定されています。たとえば、フラット35の場合、年収400万円未満では返済比率が30%、年収400万円以上では35%が上限とされています。
■住宅ローンの返済比率の全国平均
国土交通省がまとめた「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」によれば、全国平均での世帯年収(額面年収)に対する返済比率(返済負担率)は以下の通りです。
- 分譲戸建住宅: 19.8%
- 注文住宅:18.1%
- 分譲マンション:18.1%
- 中古戸建住宅 :16.8%
- 中古マンション:14.2%
これらの数値から見て取れる通り、平均的な住宅ローンの年間返済額は世帯年収の2割以下に収まっています。
■住宅ローン返済比率の計算式と計算例
住宅ローンの返済比率は、以下の式で算出されます。 返済比率=年間の住宅ローン返済額年収
たとえば、月々の返済が10万円で年収が500万円の場合、返済比率は次の通りです。
返済比率=(10万円×12か月)年収500万円=年間返済額120万円年収500万円=24%(0.24)
もし毎月の返済に加えてボーナス払いがある場合は、年間返済額にボーナス返済分を加算して返済比率を計算します。たとえば、毎月返済が10万円で年収が500万円、年2回20万円のボーナス払いがある場合、返済比率は次の通りです。
返済比率=(10万円×12か月)+(20万円×2回)年収500万円=年間返済額160万円年収500万円=32%(0.32)
┃住宅ローンを組むときにに注意すること
住宅ローンを適切に返済するためには、計画をしっかりと練る必要があります。そうでないと、将来的には教育資金や老後資金に支障が生じる可能性があり、最悪の場合は自己破産することになるかもしれません。
ここでは、住宅ローンの利用でうまくいくように、留意すべき様々な事項を理解しておくべきです。
■住宅ローンは現実的に返せる金額を借りる
住宅ローンの借り入れ額を決定するには、返済可能な範囲を考えることが先決です。融資の上限よりも重要なのは、「本当に返せる範囲はどれくらいか」です。
返済プランを練る上で参考となるのが返済負担率です。これは年収に占める年間返済額の割合を指し、通常は金融機関が設定する上限は30~35%です。ただし、家計に余裕を持たせるためには、できれば25%以下を目安にした方が安心です。
ただし、適切な返済負担率は各世帯ごとに異なります。同じ収入でも、無理なくローンを返済できる金額は家計の状況によって変わるため、生活費や貯金の余裕などを考慮してシミュレーションを行うことが重要です。
■金利タイプの特徴を理解したうえで決める
住宅ローンの金利タイプには3つあり、それぞれの特徴を理解することが大切です。
金利タイプ | 特徴 |
---|---|
全期間固定金利型 | ・完済までの金利が固定 ・借入時に完済までの返済額を確定できる ・金利が高め |
変動金利型 | ・一定期間ごとに金利が見直される ・金利が下がれば返済額が減る ・金利が上がると返済額が増える |
固定金利期間選択型 | ・期間ごとに金利タイプを選べる ・期間が終わると、再度金利タイプの選択が可能 |
出典:国交省「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」
安定的な支払いを望む方には、全期間固定金利型が適しています。
一方で、「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によれば、新規で住宅ローンを組む人の76.2%が変動金利を選んでいます。
将来の金利を正確に予測するのは難しいため、どの金利タイプが最適か一概に言えません。各金利タイプの特長を理解し、検討することが肝要です。
■返済期間は完済時の年齢を考慮に入れる
住宅ローンの償還期間は通常、「最大35年」と制定されています。返済期間を短縮すると完済が早まりますが、その代わり毎月の支払いが増加します。逆に、返済期間を延ばすと毎月の支払いは軽減されますが、その分利息額が増えます。
返済年数は利息額や月々の負担にも影響を及ぼすため、慎重に検討することが重要です。毎月の負担を軽減するためには、返済期間を延長する手段も考えられます。ただし、返済年数を長くすると、完済時の年齢に近づくにつれて収入が減少し、住宅ローンが重荷となる可能性があります。
例えば、雇用が延長されても、65歳まで働き続けても、60歳以降は収入が大きく減少することが予測されます。老後も住宅ローンの返済が続くと、老後の生活に支障をきたす可能性が考えられます。従って、返済期間は完済時の年齢を考慮し、60歳までに完済できるように設定することが賢明です。
■ライフプランについても考える
住宅購入は人生において最も重要な取引の一つとされています。しかし、それに続く様々なイベントも待ち受けています。住宅ローンでの成功のためには、ライフプランも検討しておくことが肝要です。
以下の項目を考慮してライフプランを立ててみましょう。
- 何歳までに子どもを何人授かりたいか?
- 子どもの教育環境についてどのような計画を立てるか?
- 両親や家族の介護費用に負担がかかる可能性はあるか?
- 何歳まで働くつもりか?
- 転職や退職の計画があるか?
10年や20年先を見据えることで、将来の必要な費用やタイミングが明確になります。これにより、住宅ローンの返済と両立させられるかどうかを検討することが重要です。
また、家の売却を検討している方には、不動産一括査定がおすすめです。下のフォームに必要事項を入力すれば、複数の不動産会社から査定結果を得られ、より高値で迅速に売却できる可能性が高まります。
┃まとめ
人生の一大イベントである、住宅の購入にはさまざまな悩みがつきものです。こちらで紹介した数値はあくまでも平均値ですので、住宅ローンを申請するときは、自分の収入やライフスタイルをよく考えて借入金額と返済金額を決めましょう。