失敗しない不動産コラム
2023/08/04
家を買う時の「頭金」いくらぐらい必要なの?
家を購入する際に多くの方が利用する住宅ローン。月々の返済額を抑えるために注目すべきものが「頭金」ですが、
相場としてどの程度の頭金を用意すれば、無理なく家を買えるのでしょうか。
この記事では、不動産の購入に必要な頭金の目安と、頭金ゼロでも家を買うことができるのか解説します。
また、頭金ゼロで購入する場合の注意点や、月々に支払う返済額のシミュレーションも行い、頭金の必要性に迫ります。
┃頭金とは
頭金とは、ローンを使って何らかの商品を購入する際に、商品代金の一部を先払いして、
ローンの総額から差し引くために使うお金のことです。
住宅の場合は、住宅ローンを利用することなく、先払いする費用のことを頭金と呼びます。
たとえば4,000万円の家を購入する際、住宅ローンの総額を3,000万円に抑えたいとします。
この場合、預貯金等から1,000万円を用意して先払いすると、
予定どおり3,000万円の住宅ローンを組むことができます。ここで使う1,000万円が頭金というわけです。
頭金を多く支払えば、月々の住宅ローン返済額を下げられます。
後に詳しくシミュレーションしますが、仮に4,000万円の家を頭金2,000万円で購入すれば、
頭金ゼロで購入する場合と比較して、単純計算で毎月の返済額を半分にまで下げることが可能です。
頭金を増やせば増やすほど、住宅ローンの返済で必要になる利息が減ります。
同じ金額の物件を購入するとしても、頭金の有無によって支払いの総額は大きく変わることになるのです。
┃頭金はいくら必要?頭金の目安
一般的に支払われている頭金はどの程度なのか、目安を確認してみましょう。
2022年12月現在、最新のデータとなるのは、住宅金融支援機構が公表している
2021年度の「フラット35利用者調査」です。利用される頭金の平均額を、住宅のタイプ別に見てみましょう。
|
頭金の平均額(万円) |
住宅購入費用に対する頭金の割合 |
---|---|---|
注文住宅 |
596.6 |
16.7% |
土地付注文住宅 |
412.3 |
9.3% |
建売住宅 |
270.0 |
7.5% |
マンション |
785.9 |
17.4% |
中古戸建 |
214.9 |
8.2% |
中古マンション |
418.9 |
13.8% |
出典:「2021年度 フラット35利用者調査」
注文住宅と新築マンションは高い水準ですが、それ以外のタイプの場合、購入額の10%前後を頭金として用意することが一般的のようです。
┃頭金ゼロでも購入できるのか?
かつては頭金ゼロで住宅ローンを組むことはできませんでしたが、
現在は頭金なしでも住宅を購入することは可能です。月々の支払額は増えてしまいますが、
それでも構わないという場合には頭金ゼロで住宅ローンを組むこともできます。
預貯金がなくても、勤務先や年収などの条件が良ければ住宅ローンの契約ができることは
メリットですが、頭金ゼロで住宅ローンを組む場合はいくつかの点に注意が必要です。
これについては、次の項目で詳しく解説します。
┃頭金ゼロの注意点
頭金ゼロで住宅を購入できることは、初期費用なしで家を買いたいという方にとって非常に魅力的です。
ただし、以下の3点には注意しなければなりません。
完全に頭金ゼロで購入することは不可能な場合もあるため、あらかじめポイントを押さえておきましょう。
❶借入金が増えて利息が多くんなってしまう
先ほどもお伝えしましたが、住宅を購入する際にかかる利息は、借入金に対してだけかかります。
借入金の割合が増えれば増えるほど利息負担も増えることになりますので、
合計で支払う利息額が高くなってしまうことに要注意です。
たとえば4,000万円の物件を購入する場合、10%の頭金を用意すれば、
借入金は3,600万円にまで下げられます。頭金ゼロで購入する場合と比べて、
400万円分の利息をゼロにできるため、トータルの利息負担が減ります。
❷諸費用分は現金で必要な事もある
不動産を購入する際には、物件の購入費用だけではなく、それに付随する
さまざまな諸費用の支払いが必要です。不動産会社に支払う仲介手数料、
住宅ローン手数料、登記費用、手付金、各種保険料などが代表的な諸費用です。
住宅ローンはあくまでも不動産そのものの費用を支払うためのローンなので、
通常これらの諸費用を住宅ローンに含めることはできません。
諸費用の支払いは現金の一括払いが基本になりますので、
完全に手持ちの資金ゼロで住宅を購入できない場合があります。
❸諸費用ローンはあるが、金利が高くなる
諸費用を支払うための「諸費用ローン」もありますが、これは住宅ローンとはまったく別に組むローンです。
契約すると、住宅ローンと諸費用ローンを二重で支払うことになりますので、借入金利もさらに増えてしまいます。
┃まとめ
家を購入するときに必要な頭金は、住宅の価格に対して10~20%程度が相場です。
現在は頭金を用意しなくても住宅ローンを組むことはできますが、
諸費用に関しては現金で支払うか、別途諸費用ローンを組んで支払わなければなりません。
シミュレーション結果からは、頭金を用意するかしないかによって、
35年間で928,000円という支払総額の差が生まれることも分かりました。長い目で見れば、
より多くの頭金を使って住宅を購入したほうが総支払額は少なくなります。