失敗しない不動産コラム
2023/06/30
契約前に避けたい、住民トラブル!
住宅トラブルは大きな金額がからむことも多く、
適切な対処ができないとエスカレートしてしまうケースが少なくありません。
住宅トラブルに巻き込まれないために、契約の前の段階でしっかりと予防することも大切です。
┃住宅トラブルの要因
契約の形態によって、起こりやすいトラブルの内容は異なります。
新築マンションや新築一戸建て住宅でのトラブルでは、完成した物件の不具合や欠陥に関するものが多くなっています。
また、消費者と事業者との間で知識や経験の差が圧倒的に大きいことから業者不信に陥りやすく、
ちょっとした行き違いが大きな問題に発展してしまうこともあるでしょう。
もちろん、売主業者などの強引なセールスや説明不足によって引き起こされるトラブルもあります。
一方、中古住宅の売買では買主と売主とのトラブルのほかに、買主と仲介業者とのトラブルもあります。
とくに中古の一戸建て住宅では、敷地に関するトラブルが多く目に付きます。
契約後に隣地との境界を明確にする約束だったのが、境界位置がはっきりしなかったり、
その時点になって隣地との境界トラブルが明らかになったりするような事例です。
また、隣地との間における越境問題などが浮上したのに、
それが解決されないままで残金の支払いを求められるなどしてトラブルになることもあります。
仲介業者との間のトラブルでは、契約前の重要事項説明における説明不足、
あるいは物件調査における問題点の見落としなどが原因となることも少なくありません。
┃トラベルを未然に防ぐには
一般の消費者が不動産の知識をあまり身に付けていないことは仕方ありません。
基本的な知識だけでも得ておくようにすれば、トラブルの芽を察知できる可能性が高まりますが、
大事なのは不審な点や不明確な点を残したままで契約をしないことです。
分からないことがあれば、分かるまで何度でも聞いて構いません。
仲介業者は契約によって手数料をいただくのですから、何も遠慮する必要はないのです。
不明な点を残したまま「とりあえず契約」をして、契約後に調べる、確認をするといった行為も禁物です。
売買契約を締結して手付金を支払えば原則として後戻りすることはできませんが、
契約前であればいつでもストップは可能です。不明な点は契約前に明らかにしてもらうとともに、
不審な点があれば第三者である専門家のアドバイスを受けることも考えてみましょう。
また、約束事はすべて書面にすることも大切です。口頭で約束しただけでは、
それが実行されないときに責任を求めることが難しくなってしまいます。
また、たとえば近隣に嫌悪施設などがある場合には原則として重要事項説明で取り上げられますが、
何が嫌悪施設であり、何が嫌悪施設ではないのかといった明確な線引きはなく、
担当者によって感じ方や考え方が異なる場合もあります。
このようなあいまいな部分は不動産取引で意外と多いものです。
自分の希望や条件、あるいは逆に「これがあったら嫌だ」というようなものは、事前にしっかりと仲介業者の担当者などへ伝えることも大切です。
┃トラブルを解決するには
それでもすべてのトラブルを未然に防ぐことはできません。
もし何らかのトラブルが生じた場合には、解決を後延ばしにすることなく、
すぐに行動を起こすことが重要です。欠陥が疑われるときなどには、
しっかりと証拠を残しておくことも考えなければなりません。
トラブルの解決に向けて、まずは当事者同士がお互いに誠意を持って話し合うことが原則です。
それで解決できないときには第三者機関などを利用することになりますが、
売主業者や仲介業者の不手際が原因と思われる場合には、
都道府県の住宅相談窓口や宅地建物取引業者を指導する課の相談窓口を利用することができ、
弁護士による無料相談を実施している場合もあります。
住宅性能表示制度に基づく建設住宅性能評価書が交付された住宅、
もしくは住宅瑕疵担保責任保険が付された住宅でトラブルが生じたときには、
「指定住宅紛争処理機関」による紛争処理を受けることができます。
これは住宅紛争処理のために制度化されているものであり、
申請手数料の1万円を負担するだけで、専門家(各地の弁護士会)が適切かつ迅速に「あっせん」、
「調停」または「仲裁」を行うものとされています。
指定住宅紛争処理機関が利用できず、都道府県の窓口などでも解決できない場合には、
自ら弁護士に相談をするか、最終的には裁判によって解決を図ることになります。